
ナデナデしてたら尻尾たてたけど、どうして?
何気なくハムスターと触れ合っていたら、ふとハムスターが尻尾を立てて動かなくなった、なんてシチュエーションがあると思います。
いつもと違う姿に、「あれ?体調悪いの?」と心配になりますよね。
先に結論を伝えると、ほとんどの確率で体調に問題はありません。
ただ、撫でているとハムスターが尻尾を立てる理由や注意点について、飼い主として知っておくべきですので、この記事で詳しくお話ししていきます。
尻尾を立てている姿はなんとなく可愛いと感じますが、当サイトとしては「わざと尻尾を立てさせるのは避けるべき」というスタンスです。

気安く触らないでよね
ハムスターがしっぽを立てる理由

撫でて動かなくなるのは「ロードシス」という繁殖行動
あなたが飼っているハムスターがメスであれば、飼い主がナデナデしていて尻尾を立てるのは十中八九、繁殖行動です。
発情期のメスの「ロードシス」と呼ばれる性的受容の姿勢を取ります。
オスの交尾を受け入れる準備ができてますよ〜という合図みたいなものです。
幼いメスのハムスターをお迎えしてから、始めてこのロードシスを示したなら、それはハムスターが成熟した証。
まずは「立派に育ったんだね」と温かい気持ちでお祝いしてあげましょう。
このロードシスという体勢は特にゴールデンハムスターのメスを飼育しているとよく目撃します。典型的な飼育あるあるという感じです。
なので、SNSなどでも、ピンと尻尾を立てているメスのゴールデンハムスターの姿を投稿している人はたくさん居ます。

探したらすぐ見つかると思います!
おそらく、ネットやSNSの投稿をみていて、ロードシスが見つかるのはゴールデンハムスターがほとんどだと思います。
それくらい、ゴールデンハムスターに特に顕著な行動なんです。
ロードシスはゴールデンハムスターだけじゃない

ただ、ゴールデンハムスターしかロードシスをしないのかというと、そうではありません。
そもそも、ロードシスというメスがオスを受け入れる準備ができたというアピール行動は、多くの動物に見られます。
特にトラやネコなどのネコ科の動物に多く見られるようです。
では、なぜハムスターでいえば、ゴールデンハムスターばかりロードシスの投稿が見つかるのでしょうか?
なかには

ロードシスはゴールデンハムスターしか、しないよね。
と思っている飼い主さんも多いかもしれません。
ゴールデン特有と勘違いされる理由としては「ロードシスの時間が長いから」ということが挙げられます。ですが、ロードシスはゴールデンハムスターだけの行動ではありません。
ジャンガリアンハムスターなど他のハムスターでも、発情したメスが性的受容姿勢としてロードシスを示すことが学術研究で確認されています。
一方で、ゴールデンハムスターはロードシスが長く持続しやすく、尾を持ち上げる姿勢が目立つため、飼育下でも観察されやすいことが特徴です。
Female sexual receptivity was assessed by the presence or absence of lordosis.
論文 Sexual behavior in female Siberian hamsters (Phodopus sungorus): Effects of photoperiod and ovarian hormones.(Becker JB, et al. Phodopus sungorus)
この論文では評価項目として、”Lordosis was the criterion for sexual receptivity.”と記載されています。
これは、ジャンガリアンハムスター(シベリアンハムスター)でもロードシスを示すことを前提に研究が行われていることを意味します。

あとは、当サイトなりの推測なのですが↓
ゴールデンハムスターは比較的ハムスターのなかでは身体が大きく、臆病というより温厚でのんびり屋さんのイメージがあります。
臆病な身体の小さいドワーフ系(ジャンガリアン、ロボロフスキー)ハムスターたちは、飼い主に撫でられてのんびり待機してられず、すぐに逃げることが多いと思います。
ですが、ゴールデンハムスターであれば触られていても気にせず、のんびりジッとしている、という印象です。
ですので、飼い主が撫でることができる個体のほとんどがゴールデンハムスターとなり、結果的にロードシスの様子を撮影して投稿できるのもゴールデンハムスターばかり、という状況になっていふのではないでしょうか?
少し話が逸れましたが、要するにロードシスとい尻尾を立てる行動は、ゴールデンハムスター特有ではなく、実はジャンガリアンやロボロフスキーにも見られる行動なのです。
ロードシスじゃない場合は要注意

ここで気をつけたいのが、ハムスターが尻尾を立てている理由がロードシスではない場合です。オスであればそもそもロードシスはないので、尻尾を立てていればロードシス以外の理由だとすぐに判断できます。
ただ、メスであれば仮にロードシス以外の理由だったとしても、判断が遅れてしまうので、よく観察してあげてください。
そして、ロードシスじゃないのに尻尾を立てる理由としてはストレスや恐怖を感じて警戒体勢を取っているという可能性が高いです。
実際、学術論文でもハムスターが警戒体勢を取ることは報告されています。
Agonistic encounters are resolved by one animal becoming dominant while the other reacts defensively and becomes submissive as shown by Retreat and the full Submissive posture.
The agonistic behaviour of the golden hamster (Mesocricetus auratus)(Grant & Mackintosh (1971))
この論文では、ハムスター同士の争いにおいて、防御側の個体が防御・服従姿勢を示すことが報告されています。
警戒体勢は服従姿勢と訳されていますが、要するに身をかがめて低くし、お尻を後ろに引くような姿勢です。
分かりやすくいえば、お殿様に向かってる「ははぁ〜」と武士たちが服従してひれ伏しているようなイメージでしょうか。
普通に飼育していれば、ハムスターがこのような体勢を取ることはほぼないはず。

尻尾を立てるというより、これは服従姿勢かも?
と思ったら、ハムスターが飼育環境や飼い主の触れ合い方に強いストレスを感じている可能性が高いです。
この機会に、ハムスターのお世話について根本的に見直すことをオススメします。
当サイトの別の記事もぜひご参考に。
ハムスターのしっぽを無理に立たせないで

ここまで読んでいただき、ハムスターがなぜ尻尾を立てるのか、その理由についてご理解いただけたと思います。
理由が分かった上で気をつけてもらいたいのが、「故意にメスのハムスターを撫でてロードシスを起こさないであげて」ということです。
飼い主としては、ハムスターに触れることで何かしら反応があると嬉しいし楽しくなりますよね。
しかも、

触っているのに逃げずにじっとしてくれているなんて、飼い主への警戒心も取れてリラックスしてくれてるのかな?
なんて気持ちにもなります。
ただ、もうお分かりのように、メスのハムスターは撫でられることで「勘違い」を起こしてロードシスの姿勢になります。
これは飼い主を受け入れたいのではなく、オスの繁殖行動を本能的に受け入れている、ということです。
この勘違いは人が触るだけで簡単に誘発することができてしまいます。
ただ、誘発できるからといって、飼い主の興味本位で好き放題していいかといえば、そうではないですよね。
人間を含めて、あらゆる動物には身体を触られて本人の意思とは関係なく、性的な反応が引き起こされてしまうことがあります。
これを面白がって触ることは、ある意味「悪質なイジリ」だったり「侮辱」にあたるのではないかと、当サイトとしては考えています。

繁殖にかかわる行動は、やっぱりデリケートなテーマ。
ハムスター自身の尊厳を大切にしてあげるべきではないでしょうか?
偶然、飼っているメスのハムスターのロードシスが見られたら、「あ、もうオトナになったんだな」と成長を噛み締めつつ、それ以降はロードシスを引き起こさないように気をつけてあげましょう!
ちなみにわが家のゴールデンハムスター「ぽっちゃん」はオスなので、ロードシスの体勢になったことはありませんよ。
